今日も朝からご苦労さまです。相も変わらず見つからない解決策に少しも寝てない貴方が心配でなりません。
嗚呼またそうやって一人で頑張ろうとしているのですね。私は何も出来ずに貴方をただ見つめているばかり。
如何して私を頼って一緒に手をとってくれないのですか。
そんなに私は貴方の力になれないのですか。


「エド、まだ起きてるの?」


午前二十四時を過ぎて一刻以上も過ぎた後。
夜中の胃にはコーヒーは良くないだろうと温かい紅茶を携えて薄ら灯りの漏れる扉を叩く。
互いに憚るような関係でもないので返事を聞かずに開ける。
其処には案の定というか、呆れるくらい机に噛り付いたエドワードが見えた。


「そろそろ寝たら?体壊すよ」


余程集中しているのか、エドワードは顔も上げずに分厚い本と睨めっこ。
浅く溜息を吐いて静かに彼の手元に紅茶を置いた。


「………エド?」


返事が無いのも当たり前だ。
本に噛り付くというより本とキスを交わしている。
その口からは穏かな寝息が聞こえてきた。


「こんな所で寝たら風邪引いちゃうでしょ」


ふわりとしたその金色の髪を撫でて、自然と温かな気持ちになってくる。
その無邪気な寝顔からはいつも自分の前に立って自分を守ってくれるエドワードは想像出来ない。
彼とて十五歳の少年なのだ、まだ。
本人に言うと怒るが、その背丈はやはり小柄と言える。
其れなのに何処にそんな力と強い意志があるのだろう。
一人で全てを背負うには貴方はまだ幼すぎる。


「……ベッドに寝かせた方が良いよね」


自分と大して大差のない背丈のエドワードなら頑張れば背負ってベッドに寝かせられるはず。
今彼が突っ伏している机とベッドは1メートルも離れていないのだから。
全く世話が焼ける、と聞こえてない彼に文句を零して。
自分の肩にかけるべくその右腕を持ち上げた。


「………!」


反射的に離してしまう。
エドワードが力を入れていないソレは酷く重かった。
彼が信号を送らなければこんなにもただの機械になってしまうのか。
いつもは温かいソレがだらりと重力に従って揺れた。



嗚呼、エドワードはこんなものを一人で背負おうとしていたのね。
(わたしがそれをかるくしてあげられないのかな?)




























(2006/03/19)

お題提供:Abandon様『鋼的10のお題』