ガヤガヤと一際賑わいを見せる広場。
その中心には何やら作業中のアルフォンスとの姿。
そこに荷物を運んできたエドワード。
「すごい人気だな」
「今は宇宙ブームですから」
ありがとうございます、と言ってエドワードから箱を受け取るアルフォンス。
は図面を見ながら最終チェックをしているようだ。
以前はエドワードももっとロケット工学に興味を抱き、どんどん知識を溜めていたのに、
今ではすっかりその気が失せてしまったのか。
アルフォンスたちの研究室にも顔を出さなくなっていった。
そんなエドワードの心境の変化をは敏感に感じ取っていた。
「あれ?見ていってくれないんですか?」
手を振って去って行こうとするエドワード。
は咄嗟にその手を掴んだ。
「?」
「………エドは、諦めたの?」
「!!」
「こんなことしても帰れない、って……そう思ってる?」
「ちがっ……オレは…」
「私は諦めないから」
そうとだけ言うとは踵を返してアルフォンスの方に向かった。
彼女に掴まれていた義手を見つめる。
以前の機械鎧と違って、動くが感覚はない。
触れられても、その熱を感じることが出来ない。
「……クソッ」
エドワードは拳を握ってトラックへと足を進めた。
その後姿をが泣きそうな目で見ていたことなど知らずに。
「……ちょっと、キツく言い過ぎちゃったかな……」
「大丈夫ですよ、エドワードさんなら」
アルフォンスはにっこりと微笑んでの頭を撫でる。
ああ やっぱりアルフォンスはやさしい
この世界でも、もとの世界でも。
きっと、アルフォンスという魂は何処にいっても優しいままなんだ。
おとなの顔をしたアルフォンスを初めて見たとき。
すごく驚いたのと同時に、ひどく嬉しかったのを覚えている。
似たような人がたくさんいるこっちの世界で、彼に出逢うことは必然だったのかもしれない。
瞳の色は違うけど、でも、紛れもなくアルフォンスだった。
彼と一緒にいると、まるで幼い頃リゼンブールで過ごしていたような錯覚に陥る。
これは夢なの?現実なの?
どうか、夢なら醒めないで。
どうか、現実なら永遠に続いて。
「さん?どうかしましたか?そろそろ打ち上げですよ」
「あっううん!何でもないの」
「あんまり、一人で抱え込まないで下さいね」
「!アルフォンス……、うん、ありがとう」
空へとどこまでも上がる小さなロケット。
人はどうして宇宙を目指すのだろう。
手に届かない星を目指すのだろう。
無謀にも思えるその挑戦が、一つ一つ積み重なる。
積み重なって、一歩一歩宇宙に近付く。
すぐには叶えられないことだって、少しずつなら進んでいける。
いつか、叶えられる。
ねぇ、エド。
だから私は諦めないの。
二年前はきっと誰もこんな風にロケットが上がるなんて考えていなかったよ?
でも、信じて進んだから、今空に舞うロケットが見える。
アルフォンスは一度も諦めてない。
ねぇ、エド。
私はまたエドとアルが二人で笑っている姿が見たいの。
たった二人の兄弟なのに、離れてるなんておかしいじゃない?
譬えエドが希望を失ってしまっても、私がいつかアルに会わせてあげるよ。
(2005/01/25)